[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
りゅうちゃんが連れていってくれたのは、すっごい山奥だった。
道だけはコンクリートで舗装されているけど周り全部木、っていうか森。山の中。山奥。
りゅうちゃんはその何もない道端に車をとめてトランクをごそごそし始めたんだよね。
無言でやってるから車の故障とかかとおもったら、トランクからいろいろと出してきた。
バケツの中に雑巾とか、いろいろつまってた。
それからゆかに、着替えて、っていって、Tシャツとジーンズを渡したの。
ゆか何がなんだかわかんなくてボーッとなっちゃった。
せっかくりゅうちゃんの故郷に挨拶に行くんだからって、渋谷で買ったかわいいワンピ着てきたのに、なんでーって感じだった。
ミュールまでスニーカーに履き替えさせられたの。
ゆかがお風呂入ってる間に服とか勝手にいじったのかなあ?やあだあ。
なんにしてもわけわかんなかったんだけど、更にりゅうちゃんは、この先だからって言って、道もない森を下り始めた!気をつけてついてこいよって。
は?って感じ。
だいたい道ないし。
てかどこいくんだようりゅうちゃん。
しょうがないからついていったよ。
10分か15分くらいかなあ、歩いたの。
道もないところを進んでいくから枝とか草とか掻き分けて進むのがめちゃめちゃ大変だったし、手とかに切り傷できた。痛い。これワンピで通ったら全身切り傷だらけになってたなあ。
それでね、ついたその場所が故郷だ、なんて言ったんだよ。
なんにもないところ!
ただの…なんだろう森の中、っていうか、山の中。
昔はそこに湖があったっていうんだけど、そんな面影なんてなかったよ。草と木しかなかった。
なんかゆか、だまされてるのかなあ?
それとも手の込んだサプライズ?
だって、だって、そこには、人なんていない。だれもいない。だれも住んでいないし。
でもここが故郷だっていう、りゅうちゃん。
ここで育ったらしい。
周りを良く見たら、古い木材とかが積み上げられてたりした。廃材っていうのかな。あと、土台みたいな石の造りがそこかしこに残ってて、なんか、建物があったんだろうな、とは思ったけど。
でも、まさか冗談だよね。
こんなところ、なにもないじゃん。
ここで育ったって、どういうことなの?
廃村とかいう言葉聞いたことあるけど、これは、村…にも見えないし。
ゆか、またボーッとしてたら、りゅうちゃんは歩き出した。
そして、草を掻き分け、まるで隠されていたかのような場所の、一つの扉をあけた。岩に扉。映画でしかみたことない。なんか秘密基地みたいな感じでびっくりした。
りゅうちゃんはなにかつぶやいて、バケツやほうきをもってそこに入っていった。
ゆか怖かったけど、ついていった。
そこはね、そこは、下へ下へと石でできた階段が続いていたの。
懐中電灯がなかったらホントに真っ暗なだけの闇の空間。
空気が冷たくて、ちょっと、怖かった。
それに、りゅうちゃんにはなんか話しかけづらい雰囲気だし。
だいたい、ここが故郷とか、まだ信じられないし。
故郷っていうかあれじゃまるで…。
かなり階段を下ったら広いとこについた。
懐中電灯で照らしたら、最初に目に入ったのは、なにかきれいな塊。光が反射してすごいきれいだった。キラキラしてた。
りゅうちゃんは鞄からペットボトルを出して、そこに入ってた水道水をバケツに移して雑巾を水に浸した。そしてそのきれいな塊を丁寧に拭いたの。
それなあに?って聞くと、村の守り神って真顔でいった。
村?
やっぱり村なの?
とてもそうはみえないけど。
で、ゆかちょっと退いちゃった。
怖くなったっていうか。
でも真剣なりゅうちゃんに悪いから黙ってた。
でもねでもね内心はすぐにホテルに、ううん、東京に帰りたい気持ちでいっぱいだったの。
だって、だって、なんか、こわい。
でも棒立ちなゆかに、りゅうちゃんは、良かったらその辺を掃いて掃除してくれないか、ってお願いしてきたの。
りゅうちゃんのお願いだから、懐中電灯をもったまま、わけもわからない暗闇の中を掃き続けたよ。
一体何を掃除しているのかもよくわからず。
ジメジメとした暗い空間。ほこりが舞う匂いがした。
シーンとしてて、空気も冷たくて。
アレを思い出した。
ずっとまえ果歩ちゃんや愛ちゃんと一緒に行ったなんとか鍾乳洞。
たまたま仕事のオフがみんな合って、プチ旅行したときの、アレ。
でも、あんな楽しさじゃあないんだなあ。
しばらく掃き続けて奥の方にいくとなにか固いものにぶちあたったの。
石だとおもって特に注意してなかったんだけど、りゅうちゃんがすっとんできたから驚いた。
でね、また信じられないことを言ったの。
「気をつけて掃除してね。それは、お墓だから。」